AD9854 評価ボード と PRS10 ルビジウム発振器

AD9854 DDS 評価ボードを入手したので 10 MHz のルビジウム発振器 PRS10
を入力として,オーディオ用の 33.8688 MHz を生成できるかをテストした。
Analog Devices社の DDS (Direct Digital Synthesizer) のうち AD9851 が
アマチュアによく使われているが,今回はもっと高性能の AD9854 を使うことにした。

AD9851 AD9854 の比較

Master
fclk
DAC
resolution
word
length
REFCLK
multiplier
Jitter p-p
@40MHz
AD9851 180 MHz 10 bit 32 bit 250 ps
AD9854 300 MHz 12 bit 48 bit 4〜20× 12 ps

ルビジウム発振器

PRS10 はオーディオ機器にもよく使われており,安価なルビジウム発振器
のうちでは位相雑音も少ないほうである。

ルビジウム発振器 PRS10 http://www.thinksrs.com/products/PRS10.htm
 マニュアル http://www.thinksrs.com/downloads/PDFs/Manuals/PRS10m.pdf


試験システムの構成 (写真で済ます)



右手前が PRS10,右奥がスイッチング電源。
ベルニクス 電流共振型(SMZ)スイッチング電源 BLN-24S3R5-M (24V 3.5A)を使用した。
http://www.bellnix.co.jp/catalog/65BLN.pdf
リップルが通常のスイッチング電源の1/10程度と小さい。



ルビジウム発振器は単体ではさわれない程熱くなるので,ヒートシンク上に載せる。




パソコンのプリンタ・ポートよりコマンドを評価ボードのセントロ入力に送る。
Windows Xp では,USB-Centronics 変換ケーブルは,自動的にUSBプリンタ扱いになるので
使えない。余計なことを。(Windows 98/Meなら使えるかもしれないが未確認)
評価ボードの同軸コネクタには SMB型 が用いられているが,入手し難いので,SMB-P - SMA-J
変換アダプタをつけて,SMA型コネクタで配線することにした。SMA なら BNC に変換するのも簡単。

今回は電源を作る暇がなかったので,秋月の 5V 2A 電源の後に表面実装の3端子レギュレータ
をつけて 3.3 V を作った。厚めの銅箔テープにハンダ付けした。電源は,アナログ,ディジタル等
3種類あるので,レギュレータは3個。

デモ・ソフトによる周波数の指定と実際の出力



33.8688 MHzを指定。

ルビジウム発振器の出力=評価ボードの入力波形



評価ボードの出力波形(拡大)



入力,出力波形ともそれほど綺麗ではない。電源を良くしないといけない。

周波数カウンタによる確認



確かに 33.8688 MHz になっている。ただし,カウンタ内蔵のクロックではこうはいかない。
カウンタに 10 MHz の外部クロック入力があるので,GPS 基準Clock をつないだ。
Z3801やZ3815は高くて手が出ないので,少し安い ThunderBolt Disciplined Clock
を使用した。アンテナをつながない場合,周波数は,PRS10 より相対的に 0.2 Hz 程度低い。



電源は,スイッチング電源で,リップルは通常の1/3程度。
アジア電子工業梶@AKC100-24S1.5A
http://www.asia-ele.jp/products/pdf/ac-dc_unit1.pdf

所望の周波数を得られることを確認できた。
出力周波数に応じてチップ内部のPLLで適当な逓倍周波数を選ぶ必要があるが,
Word Clock 44.1 kHz 〜 192 kHz の場合は,PLL段をバイパスして直接 10 MHz から
出力を生成したほうがジッタ源が減るので良いと思われる。

周波数精度は必要?

周波数が少し違って Aのピッチが 441 Hz が 440 Hz になっても,
対比較でもしないと自分の耳では だぶん分からないであろう。
要は,ジッタが少ないことが重要で,周波数精度はそんなに必要ないと思う。

残念

設計ツールのあることに後から ( これを書いているときに ) 気付いた。
http://designtools.analog.com/dtDDSWeb/dtDDSMain.aspx
実際の出力周波数が簡単に分かる。